No.115 「子離れのススメ」

今年も目を疑うような光景を目にした。

大学入試の日、試験終了どきに、堂々と違法駐車をして子供(受験生)を迎える親。
心配そうに、はたまた媚を売るように子供にお疲れ様と声をかける傍ら、
一方の子供は、仏頂面で有難うの言葉もなく、車に乗り込む。
入学手続きの日、まるで自分が入学するように書類を受け取り説明に耳を傾ける親。
子供はその後ろで他人事のように見つめるだけ。
大学の受付担当者からは、最近の問い合わせの多くが、学生本人でなく
代理の親からが多いと嘆きの声。
こんな例は枚挙に遑なくなってしまった。

「最高学府」に学ぼうとする人間が、これで良かろうはずがない。
親離れできない子供にも原因はあろうが、はやり子離れができない親の方に責めがある。

1965年生まれの私。
大学受験に際し、実家北九州市から東京の複数の大学を受験するために
必要な受験手続や宿泊予約、入学後のアパート探し、一人暮らしの様々な手続き。
それらは、当然の如くすべて自分一人で行った。
親に頼ったのは、金銭面のみ。周りを見渡しても、それが当たり前だった。
1972年生まれの妻。
大学受験のため、実家青森市から一人夜行列車に乗り込み、朝東京着後に大学受験を済ませ、
一人暮らしの情報を集めて回った。
合格後のすべての手続きも、自分一人で行った。
親に頼ったのは、やはり金銭面の援助だけだ。

この文章を目にする親御さん方も、きっと同じような状況だったことであろう。

自分で行うことがいかに大切か、それがどれほど人を成長させるかは、
己の人生を冷静に振り返れば容易に分かることである。

子離れこそ、子供への真の愛情なのである。
子離れできない親は、己のエゴを、愛情という言葉でごまかしているに過ぎない。

すべての親へ、あなた本位のエゴからの脱却を切に願う。
ただひとえに、あなたの愛する子供のために。

2009年3月
#115 子離れのススメ
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