2014年7月22日「父逝く14」

癌の告知に関しては、繊細な扱いをされるものだと考えていた。
五江渕医師以外のすべてのドクターは、
いとも簡単に癌であることを父に宣言した。

癌は不治の病ではない。
医療関係者には常識なのかもしれない。
しかし、癌に対する一般人の認識は、まだまだその域には達してないだろう。
今回の癌の宣告は、父と母の心に甚大な衝撃を与えた。 

F医師は、
声は小さくて聞きづらい。発する言葉はストレートで配慮に欠ける。
温かみのある態度・表情が乏しい。
と、これまたコミュニケーション力に難ありの方だった。
しかし、私のようにきちんと物申す人間にとっては、
伺う質問に対して無駄なく的確に回答が返ってくるので
コミュニケーションが取りやすい方だった。
話しを交わす回数が増える度に、Fドクターの思慮深さが感じられ、
学ぶところが多かった。

Fドクターの印象に残った言葉を書き留めておきたい。

私:「今は、癌の告知をいとも簡単に本人にする時代なのですね。」
F医師:「まずは、本人が癌を受け入れることから始めなければなりません。
それは辛いことですが、受け入れた時から本当の癌との戦いが始まります。」 

母:「主人がとても辛そうで、生きる希望もなくしているようです。」
F医師:「それはご主人の甘えです。人間はそう簡単に死ぬものではありません。
そのことを自分自身で自覚するときがきます。
そして、その自覚後に、乗り越えよう、戦おうとする力が出てくるのです。
今は、励ますのではなく、黙ってご主人の言葉を聞き受け入れてあげてください。」

母:「どうして主人は癌にかかってしまったのでしょう。」
F医師:「人間は、必ず死ぬように身体が仕組まれています。
どんな人間も必ず病気になる。これが真理です。」