2014年7月17日「父逝く12」

間もなく父の名前が呼ばれ、診察室に入った。

「結果から申し上げますと、肺癌ではありません。
腰・背中の痛みや他の症状を総合的に考えますと、
多発性骨髄腫という血液の癌ではないかと思われます。
ただ、これよりも緊急を要するのが、腎臓です。
全くと言ってよいほど機能していません。
腰・背中の痛み以外はお元気に見えますが、このままでは
3日から1週間で亡くなってしまわれるほどです。
よって、大至急腎臓の回復処置を行わなければなりません。
誠に申し訳ありませんが、こちらは癌専門の病院ですので
腎臓機能を回復するための設備が整っておりません。
実は、すでにお父様を受け入れてくれる施設の整った病院に
連絡を入れているのですが、どの病院も病床が足りず
受け入れが難しいとの返事です。
しかし、緊急なだけに必ず探し出しますから
もう少しお待ちください。」

年は、40歳前後だろうか。男性医師だった。
物言いはストレートだが、精一杯探してくださる姿に
思わず手を合わせていた。
そのとき、1本の電話がなった。

「そうなんです。緊急を要します。
何とか受け入れてもらえないでしょうか!」
そう言いながら、電話越しに頭を下げつづけてくれる医師。
手を合わせ続けた。

「N病院が受け入れてくれるそうです。
救急車を呼びますから、N病院に向かってください。」

姪に父と救急車に乗るようお願いした。
私は、母に連絡を入れ、母と共にN病院に向かった。