2014年7月15日「父逝く10」

父と私は対照的な性格である。

外国暮らしの経験も手伝い、思ったことはきちんと物申す私に対し、
父はとにかく謙虚な人だった。
人様に物を申すことなど、全くしない人だった。
謙虚さを絵に描いたような人だった。

これまでの医者の対応に私の憤りが増しても
お医者さんたちも大変なのだからと、私をなだめた。

5月12日(月)、K病院から紹介されたM病院に行った。
ここでも、血液検査から始まる一連の検査を受けさせられた。
痛みをこらえながら、素直に検査に応じる父、
何もしてあげられない己の無力さは、募るばかりだった。

検査数時間後、診察室に呼ばれた。
「この数値は異常だよ。腎臓がね、ほとんど機能していないよ。
癌も見つかってるみたいだし、これじゃうちの病院だと対応できないよ。」

これまた、年上の患者に向かって、口の利き方も知らない医者だった。
「がんセンターに予約してるんだね。じゃ、早くそっちに行って診てもらって。」

このたらい回し状態にも、父は文句一つ言わない。
私は、黙って父の気持ちを察するのに精一杯だった。